店舗シェアリングにおける食品衛生管理の注意点

  • 製品・サービス

2019/1/7

昨今、飲食店向けを中心に、店舗を複数の事業者で共有、あるいは時間単位で貸し借りをする店舗シェアリングサービスが広がっています。事業者にとって、イニシャルコストを抑えて開業できるという参入のしやすさが魅力である一方、同じ店舗を複数の事業者が利用することから、単独の事業者による利用よりも食品の衛生管理が難しくなることが、店舗シェアリングサービス運営者(以下、サービス運営者)にとって重要な課題であると考えられます。

例えば、店舗を昼は飲食店A、夜は飲食店Bに貸し出す場合を考えてみましょう。

仮に飲食店Aでノロウイルス等による食中毒が発生した場合、保健所による行政処分として数日間の営業停止が命令され、その間に施設の消毒が行われるため、消毒の間、飲食店Bも同様に営業停止を余儀なくされます。一方の事業者がしっかりと衛生管理を行っていたとしても、他方の事業者が衛生管理を怠った場合、店舗をシェアしている全ての事業者が営業停止になる恐れがあります。

このような事態を未然に防止するためのサービス運営者の取組としては、以下のようなものが考えられます。

・店舗を利用する各事業者の衛生管理計画と衛生管理状況をサービス運営者が確認し、問題があれば指導する。

・店舗を利用する各事業者の衛生管理責任者とサービス運営者で衛生管理チームをつくり、全員で衛生管理に取り組む。

また、異なる業種で店舗をシェアする場合も注意が必要です。

前回のコラムで述べたとおり、平成30年6月に15年ぶりに食品衛生法が改正され、全ての食品等事業者で「HACCPに沿った衛生管理」が義務化されることになりました。これにより飲食店は、衛生管理計画を作成し、実施する義務を負うことになります。

例えば、店舗シェアリングサービスにおいて店舗を非飲食店Cと飲食店Dに貸し出す場合、非飲食店Cは店舗利用時にHACCPの考え方に沿った一般衛生管理(※1)を行うとは考えにくいため、同じ設備を使用する飲食店Dは、単独で店舗を利用する場合よりも食中毒等が発生するリスクが高まることになります。

このようなケースでは、サービス運営者は、例えば使用する冷蔵庫を分ける等、ハード面での対策を講じることが必要になるでしょう。また、非飲食店Cに対して、飲食店D用の設備や備品を触らないことや体調不良の従業員を休ませて店舗に入れない等、HACCPに沿った衛生管理に影響を及ぼさないための一般衛生管理の教育を行うことも必要になります。

店舗を共有している以上、食品の衛生管理はサービス運営者と店舗を利用する事業者が一体で取り組まなければなりません。店舗を提供するのはサービス運営者ですので、店舗全体でどのような衛生管理を行っていくかをサービス運営者自身も考えていくことが大切です。 

(※1)冷蔵・冷凍庫の温度の確認、器具等の洗浄・消毒・殺菌、トイレの洗浄・消毒、従業員の健康管理・衛生的作業着の着用、衛生的な手洗いの実施、およびそれらの記録

執筆コンサルタントプロフィール

木本 博之
製品安全・環境本部 シニアコンサルタント

コンサルタント紹介を見る

コラムトップへ戻る