佐藤 一郎(Ichiro Sato)

所属部署
企業財産本部
専門分野
火災・爆発、自然災害

経歴・資格

大学院工学系研究科建築学専攻修了。
大手建設会社勤務を経て、2002年東京海上ディーアール入社。企業保有資産や投資事業・インフラ事業等に係る災害リスク定量評価・コンサルティングの実績多数。また、2012年度より、保険引受(集積・個別)に係るリスクモデル開発および技術開発を統括。在職中に信頼性・リスク論で学位取得。2015年4月より企業財産本部長。博士(工学)、一級建築士。

担当プロジェクト例

  • 国土交通省「水害保険等の水害リスクに応じたソフト対策の活用に向けた方策に関する調査・検討業務」平成27年度
  • 内閣府「自然災害におけるリスクファイナンス / 災害リスクマネジメント促進に係る調査・検討業務」平成28年度~
  • JST「SIP 防災研究開発成果により期待できる効果の経済評価」平成30年度 等

予測不能な時代に求められる専門性

企業財産本部では、主に企業保有資産やインフラ事業等に係る災害リスク定量評価・コンサルティングを行っています。また、グループ会社である損害保険会社向けの研究開発・企画開発支援、そして官公庁調査業務も手掛けています。

日本の社会・産業は多くの災害を経験し、それを乗り越えてきましたが、近年は気候変動や感染症など新たな課題に直面しています。VUCA時代と呼ばれる予測不能な時代の中で、お客様や社会の課題解決にどう向き合っていくべきなのでしょうか。そして、求められる専門性とはどのようなものでしょうか。

自分自身は、大学時代は建築学を専攻しました。もともとは、情報科学分野に関心があったものの、技術のみならず社会環境にも深く影響しうる建築・都市というものに興味を持ったことがきっかけです。大学院ではGIS(地理情報システム)を活用したリスクに関する研究内容で修士論文を書きました。理論だけでなくプログラムを実装したのですが、振り返れば、現在につながる多くの要素が詰まった研究でした。社会に出てからは設計業務経験を経て、東京海上ディーアールでは、計算分析・開発からフィールド調査、官公庁の調査研究まで広く経験して今に至っています。

損害保険会社グループならではの強みを活かして

日本は、災害における課題先進国、と言われることがあります。耐震に係る技術は世界でも有数で、免震構造物の普及や建築確認制度の浸透により、建物の倒壊による死者数は少なくなりつつあります。巨大地震に備えた企業のBCPの策定・定着も進んでいます。

しかし近年、気候変動も含めた風水害での災害の激甚化が顕在化しています。気象災害の怖さは、今後その威力が増大するなかで既存の堤防などの施設が相対的に弱くなり社会全体のリスクが増大していくところにあります。建築や街づくりにおいても、水害の備えを土木の河川行政に完全に頼るのではなく、浸水被害を軽減するための新たな設計思想や土地利用の在り方を模索する動きが強まっています。それでも、リスクはゼロになることはありません。

損害保険会社グループのコンサルティング会社である東京海上ディーアールの強みは、保険やリスクを通じてお客様のライフサイクルに寄り添いながらそのように流動的な課題の解決を一緒に考えられるノウハウと環境があることです。その強みを活かし、外部の専門研究機関やパートナー企業と連携して、地域や企業の減災防災への貢献をしながら持続性のあるビジネスの創出につなげることもできます。

本質を考えながら社会の発展に貢献したい

専門性・プロフェッショナルに画一化された定義は存在しません。私自身が歩んできた道のりを振り返っても、そこに体系化された技術や学問があった訳ではなかったように思います。しかし、常に大切にしてきたのは、「本質とは何かを問い続けること、考え続けること」です。不確実で予測不能な時代では、既存の学問や技術体系を超えた課題に直面することもあると思います。本質を考えることを常日頃心がけていれば、既存の枠組みを超えた視点で課題を発見したり創意工夫したりすることができるようになると信じています。

今まさに社会課題に対してどう向き合って価値を出していくのか、が問われています。現在進めているプロジェクトの中でも、デジタル・ICT技術を活用した災害リスク軽減にかかる研究開発・技術開発も増えてきています。技術的な目新しさが求められる時代的風潮もありますが、お客様ニーズや社会課題にあまりにも乖離した取り組みは持続しません。それだけ災害にかかる課題解決は簡単ではない証でもありますが、本質的な課題がどこにあるのか、は常に見定めておく必要があります。その上でパートナー企業・研究機関とも連携しながら、シーズとニーズをつなぎ試行錯誤を通じてリスク・不確実性に強い社会の発展に貢献していきたいと考えています。

主な担当サービス