消費者志向経営の実践

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2019/3/25

2016年に消費者庁から「消費者志向経営」の取り組み促進が公表されてから約2年、宣言企業は100社に上っています。「消費者志向経営」とは何か、具体的にどのような取り組みをすればよいのか、実践した場合の効果などを近年の社会状況も交え、解説いたします。

消費者志向経営を自主的に宣言した企業は、2019年2月末現在で100社に上っており、2016年に消費者庁から「消費者志向経営」の取り組み促進が公表されて以来、年々増加しています。自主宣言企業の中にはいわゆる大企業だけでなく、中堅中小企業が含まれていること、またBtoC企業だけでなくBtoB企業も含まれている点が特徴です。昨年11月には本取り組みのベストプラクティスを表彰する消費者志向優良事例表彰(第1回目)が実施され、内閣府特命担当大臣表彰・消費者庁長官表彰合わせて計4社が表彰されました。受賞理由に共通することは、明確な企業理念の策定と組織への浸透、具体的な取り組みの実践です。今後、消費者志向経営の自主宣言は、他企業との差別化や、ブランド力の向上を図る手段として活用されていくことが期待されます。

では消費者志向経営は具体的にどのように進めたらよいのでしょうか。官民一体である本取り組みは「事業者と消費者のコミュニケーションの一層の深化」を図ることがポイントです。例えば、消費者や顧客の選択・利用の際に役立つように商品・サービスの内容や取り扱い方法、問い合わせ先の表示、安全や環境等に関わる情報提供を充実させること、消費者からの意見や不満・苦情・問い合わせ等への対応体制を充実させることが具体的な取り組みとして挙げられます。また、消費者の要望や社会からの要請を踏まえた商品・サービスの改善・開発、持続可能な社会への貢献、多様な消費者への対応が行われていること、そして経営者や従業員がこれらの活動に積極的に関与することも重要です。ここで挙げた取り組みは一例であり、「消費者志向経営の取組促進に関する検討会報告書」の中では具体的な7つの柱と取り組み内容の例、また推進に当たって経営者が取り組むべき活動の具体例が掲載されていますので、そちらも参考にするとよいでしょう。

「消費者志向経営の取組促進に関する検討会報告書」(消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/consumer_oriented_management/review_meeting/pdf/160406_houkokusho.pdf
 
これまで消費者の安心や安全を脅かす事件や事故、数々の企業不祥事が起こり、世の中のコンプライアンス意識が高まっているのはご承知の通りです。また最近はCSRやSDGs等が注目され、企業が現在の顧客だけでなく消費者全体の視点に立って(未来の顧客も包含して)企業の社会的責任を意識しつつ、中長期的な視点で事業活動を行うことが社会から求められています。消費者志向経営の実践は、これらの社会的要請に応えることにつながります。推進した結果としては、①事業者の持続的な成長と中長期の企業価値の向上、②消費者トラブルの減少、➂コンプライアンス意識の向上によるリスクの軽減、④従業員のモチベーション向上が期待されます。現在、商品のコモディティ化で商品・サービスの機能面のみを追求しても差別化が図りにくくなってきたことや人々の価値観が「モノ」から「コト」に変化していること、さらにはモバイル機器や電子商取引の普及等により新たな顧客接点がうまれ、あらゆる企業が変革を求められる時代が到来しています。消費者志向経営の実践・推進は、「消費者が持つ価値のある潜在的なニーズ」を探りだし、ビジネスの改善・改革にもつながるため、経営戦略としても重要なことは言うまでもありません。貴社でも変革の第一歩として、消費者志向経営の宣言に向けて準備を始めてみてはいかがでしょうか。

執筆コンサルタントプロフィール

西 彩奈
ビジネスリスク本部 アシスタントリスクアナリスト

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