標準化による業務効率向上・企業価値向上

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2019/7/1

 JIS の制定とJIS マーク表示制度を定めた「工業標準化法」が昨年改正され、2019 年7 月1日より「産業標準化法」として施行されます(※)。主な改正点の1 つに、これまでモノにしか適用されなかったJISがデータやサービス、経営管理等に広がるといった対象範囲の拡大があります。あらゆる産業がサービス化する今、標準化の波は工業製品のみにとどまらず、多くの分野に広がっています。本稿ではこの “標準化”をキーワードに業務効率向上・企業価値向上について考えていきたいと思います。

 皆様は、身の周りの多くのモノが標準化されていることをご存知でしょうか。オフィスや自宅の中を見回しても、鉛筆、乾電池、マッチ、蛍光灯、ねじ、ライター、オフィス家具、電源プラグなど今やJIS 規格の製品をあちこちで見つけることができると思います。標準化は私たちの生活をより便利に暮らしやすくしてくれています。
 では、このような標準化の考え方を業務に適用した場合はどうでしょうか。まず誰が、どこで対応しても、同じ内容、同じ品質、同じ生産性が担保されることから、業務品質のバラツキを抑えることが可能となります。さらに、業務標準化の前提である業務可視化により、上⾧がメンバーの業務を把握することが容易となり、業務時間の計測が実現できることから、人材の再配置・最適化を検討することができます。
 ポイントは、この業務標準化の適用範囲は広く、あらゆる役職・業務・業種において活用できる可能性があります。例えば、これまでホワイトカラーの仕事は、単純作業と違い標準化できないと言われてきました。しかしながら、はたしてそうでしょうか。⾧年の経験や知識に基づき作業する感覚型の業務であっても、業務を分析整理することによって一部を標準化することは可能な場合があります。業務標準化は業務効率化の第一歩です。
 そして忘れてはいけないのが、業務の標準化・効率化はそれ自体がゴールではないということです。業務の標準化・効率化によりムリ・ムダ・ムラを防ぐことで、本来着手したかった経営課題や新しい業務にチャレンジする資源を確保することが、業務標準化・効率化の醍醐味と言えます。

 さらに業務標準化の取り組みは組織の中だけではなく、激化するグローバル競争においても有意義な施策の1 つとなりえます。2017 年2 月末には、ヤマトホールディングス株式会社が中心となって保冷配送サービスに関する国際規格、PAS1018 が策定されました。本規格は、昨今の国外における保冷宅配便サービスの市場拡大において、低品質なサービスが広がっている現状に対し、サービスの標準化と品質の向上を促し、社会に安全・安心な保冷輸送インフラをもたらすことを目的に策定されました。より良い保冷配送サービスとは何なのか、先に評価軸を定義した企業が有利であることは間違いありません。

 近年の人手不足やグローバル競争の激化といった環境下においては、限られた資源をどのように分配するのか、また業界内の混沌とした事項のルール整備・策定に関われる企業になれるかどうかが企業価値向上の鍵になります。“標準化”というキーワードをヒントに、自社の業務の棚卸しをしてみませんか。


※ 経済産業省「JIS法改正(産業標準化法)」https://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun/JISho.html

執筆コンサルタントプロフィール

西 彩奈
ビジネスリスク本部 リスクコンサルタント

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