新型コロナウイルスの感染拡大について

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2020/1/27

※本稿は2020127日(月)9時時点の情報を基に作成しています。今後状況が変化する可能性が高いので、最新情報にご注意ください。

 中国中部・湖北省武漢市で発見された新型コロナウイルス(2019-nCoV)による肺炎の感染者が、中国および複数の国・地域で増加しています。中国衛生当局の発表によれば、2020127日午前0時現在で、同感染症への感染確認例は2,744人、うち80人が死亡、461人が重症とされています。感染が確認された中国域内の省・市・区は30に及び、感染疑い例が5,794例あると報告されています。また中国以外でも、タイ、香港、マカオ、米国、オーストラリア、シンガポール、台湾、マレーシア、韓国、フランスなど複数の国・地域で感染が確認されており、日本でも4例が見つかっています。


 今回の感染症は、武漢市で20191212日に初めて発症が確認され、当初は原因不明のウイルス性肺炎とされていましたが、世界保健機関(WHO)が202018日、同感染症の原因について、「重症急性呼吸器症候群(Severe Acute Respiratory SyndromeSARS)」や、「中東呼吸器症候群(Middle East Respiratory SyndromeMERS)」の原因となったウイルスの仲間で、新種のウイルスの可能性があると発表、さらに9日、中国当局が新型コロナウイルスが特定されたとする予備的な確定を発表しました。

 武漢市は、同ウイルスの感染拡大を防ぐため、123日から同市のバス・地下鉄・鉄道・空港などを含む公共交通機関を一時閉鎖しました。この措置を受け、日本を含め各国政府は、武漢市へ渡航しないよう注意喚起を行っています。

 世界保健機関(WHO)は23日、同ウイルスについて緊急委員会を開き、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を見送りました。現時点では人から人への感染は中国国内に限定されており、世界的な脅威と指定するには時期尚早と判断したものです。

 中国では1月24日から30日まで春節(旧正月)の休暇期間に入っており、国内・海外における多数の人の移動が見込まれます。感染拡大を懸念した中国政府は26日、国内の旅行会社に対し、海外の団体旅行を中止するよう、指示しました。これにより旅行業界に大きな打撃が予想されますが、既に中国から海外へ渡航している例も多く、完全な封じ込めは困難と見られています。

 企業としては、まず同ウイルスの感染に関する最新情報の収集と、関係者への周知・共有が求められます。情報収集においては、感染症について流布されやすい、デマや不確かな情報に惑わされず、厚生労働省、外務省など、公的機関等の確かな情報を確認することが必要です。

 また、中国や周辺国・地域の駐在員や出張者に対しては、特に警戒を怠らずに以下のような基本的な予防対策を徹底するよう促すことが大切です。万一体調に異変がみられる場合は、速やかに信頼のおける医療機関で受診するよう指示する必要があります。


予防対策
・外出後はせっけんを使用した手洗いを徹底する。せっけんや水が利用できない場合は、手指消毒剤を携行する。
・特に呼吸器系疾患を有している場合、もしくは咳・くしゃみ・のどの痛み等の症状がある場合はマスクを着用する。
・体調不良とみられる人との接触を避ける。
・動物(生死を問わず)や動物のいる環境との直接的な接触を避ける。
・ふんで汚染されている可能性があるものの表面に触れない。
・生ものや調理不十分な肉等の摂取を避け、十分に加熱調理する。
・室内の換気を頻繁に行う。室内の換気を頻繁に行う。
・十分な睡眠と栄養バランスのとれた食事を取る。
・衣・食衣・食・住環境において衛生管理を行う。
・人の大勢集まる場所への外出は、できる限り控える。


 さらに本社や中国以外の海外拠点などにおいても、今後感染がさらに拡大した場合、状況に応じてどのような対応を行うか、予め拠点ごとに対応計画を定め、関係者間で共有・確認しておく必要があります。また日本を含め、中国との往来の多い国・地域においても、今後さらなる感染拡大の恐れもあり、基本的な予防対策の徹底が求められます。既に中国や武漢市への出張自粛や、中国拠点での在宅勤務などを指示する例が出ているのみならず、国内においても在宅勤務を指示する例が出ています。今後の状況により、移動制限や拠点からの一時退避等が必要となることも想定されます。中国での交通機関閉鎖の対象地域がさらに拡大する可能性も指摘されています。また、類似のコロナウイルスによるMERSでは、2015年、中東の感染地域から遠く離れた韓国で感染が拡大した例もありました。感染症の動向は十分予測できないことを考慮し、様々な状況に対応できるよう、平常時から準備を確認・強化することが求められます。

執筆コンサルタントプロフィール

深津 嘉成
ビジネスリスク本部 マネージャー 主席研究員

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