「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」が公表されました

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2020/7/20

 国土交通省と経済産業省は、2019年10月の台風19号による大雨に伴う内水氾濫により発生した高層マンションの浸水被害を踏まえ、2019年11月に「建築物における電気設備の浸水対策のあり方に関する検討会」を立ち上げ、「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」として取りまとめ、2020年6月19日に公表しました。

  「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」は、ガイドライン本文と参考資料で構成されており、国土交通省からは、あわせて概要も公表されました。

●国土交通省HP「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン(概要)」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/001349326.pdf

●国土交通省HP「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン(本体)」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/001349327.pdf


■「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン(本体)」のポイント
1.目的
 対象建築物(マンション、オフィスビル、病院等の建築物)において、洪水等の発生時に、居住や施設の使用に支障が生じないよう、建築物の機能継続の確保を図る観点から、対象建築物における電気設備の浸水対策の推進に資することを目的としています。

2.適用範囲
 特別高圧又は高圧で電力供給され、特別高圧受変電設備又は高圧受変電設備の設置が必要となる新築、既存の建築物を対象としています。

3.関係者の役割
 タイムライン(図表1)に沿って、関係者の役割が例示されており、「誰が、どのような場面で、どのような行為を行うことが許容又は要求されるのか」といった基本的な事項について、関係者間で協議し取決めを行うことが望ましいとしています。

 

4.設定浸水規模及び目標水準の設定
 建築主や所有者・管理者は、専門技術者のサポートを受け、目標水準を設定することとされています。想定される浸水深や浸水継続時間等を踏まえ、設定浸水規模を定め、機能継続に必要な浸水対策の目標水準を設定(建築物における浸水を防止する部分の選定等)することが求められています。

5.浸水対策の具体的な取組
 浸水対策の具体的な取組が示されています(図表2)。浸水リスクを低減するための取組として、①浸水リスクの低い場所への電気設備の設置、②対象建築物内への浸水を防止する対策(水防ライン(※1)の設定等)、③水防ライン内において電気設備への浸水を防止する対策が示されています。さらに、電気設備が浸水した場合の取組として、電気設備の早期復旧のための対策が示されています。


◎参考資料集
 同ガイドラインでは具体事例を、解説、図、写真等を用いて紹介しています。

 

■今、すべての建築関係者に求められる「水防(※2)」
 ここ数年、梅雨時に、激しい豪雨が発生し、秋の台風来襲時には、広範囲にわたり多量の降雨と沿岸域における高潮が発生しています。さらに、集中豪雨や局地的大雨が頻発しており、これまでに想定できないような雨が降っています。このような状況において、洪水や高潮による災害のニュースを目にすることが多くなっています。
 このため、国や自治体による河川改修をはじめとする治水事業が急務である一方、「水防」の原点は、「自らの安全は自らが守り、地域の安全は地域が守る」という自助・共助の精神です。すなわち、洪水等の発生時においては、在館者の避難をはじめ、建物所有者・管理者による自主的な水害対策(いわゆる自衛水防)や災害救援活動への取組等、多様な主体による「水防」への参画が、建築物の水防力向上のために必要不可欠となります。
ここで紹介した「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」は、建築物の水防力向上の手引きとなるもので、不動産リスクの専門家を擁する当社では、すべての建築物関係者様の安心・安全に関してサポートするサービスを提供いたします。

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https://www.tokiorisk.co.jp/service/due_dili/building_diagnosis/

 

 

※1:水防ラインとは、浸水を防止することを目標として設定するライン。対象建築物(建築物の外周や敷地)等を囲むように水防ラインを設定し、ライン上の全ての浸水経路において、止水板等を設置することで、ラインで囲まれた部分への浸水を防止し、電気設備の浸水リスクを低減することができます。

 

※2:主に火災の発生を警戒したり、消火したりすることを「消防」というように、水害の発生を警戒したり、土のうなどで水があふれるのを防ぐことを、「みず」から「ふせぐ」と書いて「水防」と呼んでいます(国土交通省、水防の基礎知識より)。

執筆コンサルタントプロフィール

堀 裕弘
不動産リスクソリューション本部 エキスパートリスクコンサルタント

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