SDGsの達成に向けて最も影響力のある企業「SDG2000」が発表されました

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2021/3/29

 SDGsへの企業の貢献を評価する指標を開発しているWBA(※1)は、SDGsの達成に向けて最も影響力のある2,000企業のリスト「SDG2000」(※2)を2021年1月27日に発表しました。収益の合計が46兆ドルとなるSDG2000該当企業は、直接的に1億200万人を雇用し、世界80カ国に拠点がありますが、そのうち188社は日本企業です。

 WBAはSDGsの達成に向けて変革が必要な分野を7つに分類し、各分野における2,000企業のSDGsへの貢献度を、企業の公開情報に基づいて評価しています。7分野とは「社会」「食料と農業」「脱炭素とエネルギー」「資源循環」「デジタル」「都市」「金融システム」であり、評価される分野は企業の事業内容によって異なりますが、「社会」は全ての企業が評価対象となっています。
 この「社会」分野において、WBAは企業に対して、人権の尊重、ディーセント・ワーク(※3)の提供・推進、倫理的な行動の3項目を期待し、それぞれの期待について以下の通り4つの具体的な内容を特定しています。

 人権の尊重に関しては、近年、特にサプライチェーン上の人権侵害が問題視されており、欧州では企業による人権デュー・ディリジェンス(※4)の実施を義務化する動きが加速しています。ビジネスと人権について、欧米と比較して取組みの遅れが指摘されることの多い日本ですが、日本でも昨年10月に「『ビジネスと人権』に関する行動計画」(※5)が策定され、日本政府から企業に対する期待が表明されました。なお、人権デュー・ディリジェンスは、国際的にも、日本の行動計画においても、規模や業種にかかわらず全ての企業が実施することが期待されています。
 WBAは2023年までにSDG2000の評価に用いるベンチマークを開発予定で、「社会」を含む一部の分野の評価指標は既に公表され、分野によってはランキングの結果も公表されています。      
 企業はSDG2000に選定されているかどうかを問わず、持続可能な社会の実現に向けて自社の事業や取組みが与えるプラスまたはマイナスの影響について、早急に認識・把握することが望ましいと言えるでしょう。

 

※1 WBA(World Benchmark Alliance):国連財団、イギリスの保険会社Aviva Investors、オランダのNGO Index Initiativeが、SDGsの達成に向けた企業の取組みを促進する目的で2018 年に設立した組織。

※2 SDG2000:WBAの5つの基準に基づいて選定され2020年1月に初めて公開されたリストで、毎年更新される予定。5つの基準は、「グローバルな生産と収益の業界占有率」、「生産やサービス関連セグメントにおけるグローバルな支配力」、「子会社やサプライチェーンを通じたグローバルなエコシステムへの関連」、「グローバルなガバナンス・プロセスと制度への影響力」、「特に発展途上国に影響力を持つグローバルな展開」。

WBAウェブサイト https://www.worldbenchmarkingalliance.org/sdg2000/

※3 ディーセント・ワーク:「働きがいのある人間らしい仕事」のこと。

※4 人権デュー・ディリジェンス:自社の事業が人権に与える影響と特定・評価および対策を実施し、取組みを追跡評価して外部に情報開示を行う一連のプロセスのこと。詳細はリスクマネジメント最前線「企業に求められる人権リスク対策」を参照のこと。
https://www.tokiorisk.co.jp/publication/report/riskmanagement/pdf/25c372d74a6862f011854a15b0973cf8047a864e.pdf

※5 「ビジネスと人権」に関する行動計画:国連「ビジネスと人権に関する指導原則」を実践するための手段として、ビジネスと人権に関する国別行動計画を策定することが各国政府に対して推奨されている。日本のビジネスと人権に関する行動計画の概要については、リスクマネジメント最前線「企業に求められる人権リスク対策②」を参照のこと。
https://www.tokiorisk.co.jp/publication/report/riskmanagement/pdf/pdf-riskmanagement-348.pdf

執筆コンサルタントプロフィール

谷口 繭
製品安全・環境本部 シニアコンサルタント

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